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《コラム》社会保険診療報酬と消費税転嫁

H24.11.27 神戸地裁判決



◆社会保険診療報酬と消費税の転嫁の問題
 平成24年11月、兵庫県の4つの医療法人が、現行消費税法の仕入税額控除制度は憲法違反であるとして、
国家賠償を求めていた裁判の判決が神戸地裁で出ています。医療機関の収入である社会保険診療報酬は、
社会政策的な配慮から消費税は非課税とされています。一方で、非課税売上のために行った仕入に係る消費税額は、
消費税の計算上控除することは認められていません。この控除できない仕入税額は、当然コストとなるため、
一般企業では、売価に転嫁することで回収を図ることになります。

◆医療機関は「転嫁をしたくてもできない」
 医療機関の場合、社会保険診療報酬は公定価格であるため、この転嫁を自由に行うことはできません。
医療機関では、多額の控除対象外消費税が生ずるケースがよく見受けられますが、これは、
消費税の仕組み自体が法の下の平等・財産権の侵害など憲法に違反しているのではないかというのが
医療法人側の主張でした。消費税の非課税制度・仕入税額控除と診療報酬制度は、個々の制度としては
合理的であったとしても、これらが組み合わさった結果、医療機関には、一般企業に比べて、不公平な
「負担」が生じているということなのです。

◆地裁「法的負担でない」「報酬改定で考慮済」
 この主張に対する裁判所の判断はNOでした。理由を噛み砕いて言えば、①消費税の仕入税額控除制度は、
「税負担の累積防止」という計算技術的なものであり、消費税法では、仕入税額を「事業者の法的負担」とは
位置付けていない、②医療法人と一般企業では、確かに「転嫁方法の区別」が生じているが、
診療報酬改定により一定の考慮がなされているため、立法裁量として許容できる範囲であるということでした。

◆EUでは課税選択制度(オプション)がある
 EUでは上記のような議論を、医業特有の問題とは捉えていません。EUの付加価値税では
「仕入税額控除権」という請求権があり、課税適状となった時点で行使することができます。
非課税売上に対応する仕入税額が控除できず、事業者が不利益を被る場合には、
その売上を非課税とする取扱いを放棄して、課税取引を選択することで、仕入税額控除権の
行使ができる制度(課税選択制度)が設けられています。



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